あなたは、まるで仮面をつけているかのように、いい人や、社交的な人や、ワル、ピエロ……というような、本来のあなたでない「誰か」のフリをしたこと、ありますか?
それはおそらく、ありのままの自分では認めてもらえないんじゃないか、という怖れからの行動ではないでしょうか。
ただ、もしそれで周りから評価されたとしても、それはその「誰か」という仮面を評価されたのであって、あなた自身を評価されたのではないような気がしませんか?
とはいえ、ありのままの自分では認めてもらえないという怖れがある以上、そうせざるを得ない……という悪循環。困ったものですね。
誰かのフリを演じるのって、「セルフコントロール」という形の我慢をしなければならないことも多く、得るものが少ない割にはものすごくエネルギーを使うことになります。
ところが、このセルフコントロールという我慢を必要以上にしていると、他のことにエネルギーを使えなくなるから厄介なんです。
今回の「恋愛Jp」Q&Aでは、そんな実験データを紹介しながら、セルフコントロールとありのままの自分、というテーマについてお話をしました。
あなたのココロを軽やかにするヒントとなると思います。リラックスしてお読みくださいね。
【相談者:20代女性】
彼と付き合って2年になりますが、いつも彼に合わせてばかりでなんだか疲れてしまいました。
彼は気むずかしいところはありますが、思い通りにならないと荒れるような人ではありません。でも、私は素の自分を出してしまうと嫌われる気がしてずっと我慢してきました。
本当はもっとありのまま付き合えたら楽だとは思いますが、現実はそんな理想的にはいかないとも思います。もう疲れないで済む関係になるにはどうしたらいいのでしょうか。
A.我慢し続けるのは筋トレを永遠に続けるのと同じで、無理です
日常の迷宮脱出ガイド、心理分析士の咲坂好宥です。
ありのままで接したほうがいいのはわかっているけれど、そんなことしたら何かがバレて(苦笑)嫌われてしまうんじゃないか……。
そんな気持ち、誰にでもあると思います。現実の人間関係は相手がいる以上、理想通りにいかないこともありますよね。
では、彼と一緒にいても疲れない関係をつくるためにはもっと我慢強くなればいいのでしょうか。探ってみましょう。
我慢に関する心理実験からわかるセルフコントロールの正体
チップ・ハースとダン・ハースは著書『スイッチ!―「変われない」を変える方法』(早川書房)の中で面白い心理実験を紹介しています。
腹ペコ状態の学生たちを部屋に連れて行くと、そこには2つの皿があります。
1つは焼きたての香ばしいチョコチップクッキーとチョコレート菓子、もう1つは山盛りのハツカダイコン(笑)が乗っています。
ここで学生たちの半数はクッキーとチョコレート菓子を食べる指示を受けましたがハツカダイコンは食べても食べなくてもOKとし、残りの半数はハツカダイコンを食べる指示を受けクッキーは禁止、という意地悪なグループ分けがされたのです。
学生たちは盗み食いすることもなく、言われた通りのものを食べました。
でも、本当の実験はこれからで、このあと学生たちに一筆書きで複雑な図形を描く、という問題が出されました。ただ、この問題は絶対に解けないという意地悪なものだったのです。
すると、チョコチップクッキーを我慢せずに食べた学生たちは平均19分を費やし、34回、試行錯誤を繰り返しました。
一方、クッキーを我慢してハツカダイコンをかじった学生たちはわずか8分であきらめ、19回しか試行錯誤できませんでした。
この実験からわかることは、“セルフコントロールは消耗資源”だということです。
腕立て伏せと同じようなもので、やり続けるとだんだんキツくなって、しまいには床にへたり込んでしまうワケですね。
あなたが彼との関係で約2年間とり続けてきた態度、それはまるで香ばしいチョコチップクッキーが横にあるのにハツカダイコンをかじり続けるようなものだったのではないでしょうか。
Valentine heart cookies- chocolate chip / nikkicookiebaker
自分に向いている心の矢印を、友だちに向けてみて
セルフコントロールって聞くと、なんだかオトナな感じでカッコイイですよね。でも、それには限界があるみたいです。
簡単に言えば、いつも張り詰めてばかりじゃダメで、緩めることも必要ってコトです。
では、セルフコントロールを緩めたあなた、つまり我慢せずにありのままの自分を出したあなたでは、彼に嫌われてしまうのでしょうか。
ここであなたの仲の良い友だちを思い浮かべてみてください。その友だちも、多かれ少なかれセルフコントロールをして、つまり我慢して、ちょっといい感じの自分を演じていることでしょう。
ではあなたはその友だちが隠している、カッコ悪くてイケてない部分に気づけていないのでしょうか。たぶん、しっかりバレバレですよね(笑)?
ではあなたは友だちのそんなイケてない部分を見つけて、その友だちと絶交したくなりますか?
ありのままの自分なんてロクなもんじゃない
結局、ありのままの自分でいるとかいないとか、そんなことに囚われているのは本人だけで、付き合いが深まれば深まるほど、程度の差こそあれバレバレになる(苦笑)ワケです。
でもそれで相手が離れていかないのであれば、そこも含めて受け入れられているんだというのが、より現実に近い解釈なのではないでしょうか。あなたが周りの大切な人たちを受け入れているのと同じように。
そう考えてみると、「ありのままの自分」なんていうのは、日本全国もれなくロクなもんじゃない(笑)のかもしれません。
弱くて、カッコ悪くて、情けなくて、誰にも見せたくないような……。ぼくなんてひどいもんですよ(苦笑)
ロクなもんじゃないのがありのままの自分。それがあなたの本質。それが彼の本質。それが人間の本質……。
そして、そんなロクなもんじゃない部分も含めて、人は誰かを愛するのですから、もう我慢をやめちゃったほうがむしろ親近感が増したりするかもしれませんよ。
もちろん、ドン引きされないとは言い切れませんが、もしそうなったら彼に人を見る目がなかっただけのこと。2年も何を見ていたんだ……と(苦笑)
だからそろそろ、チョコチップクッキーを盗み食いしちゃいませんか? お二人が、より親密になれますように!
let my fingers feel the wind / katiaromanova
【参考文献】
・『スイッチ!―「変われない」を変える方法』(チップ・ハース、ダン・ハース著、早川書房)
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今日も最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。
咲坂好宥
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