今回は『罪悪感』についてお話しします。
早速ですが、心理学で言うところの『罪悪感』という概念は、一般的に使われるものとはちょっとニュアンスが違います。
一般的に使われる罪悪感って、何か悪いことをしたから感じる感覚ですよね。何か物を盗んだり他人を騙したりした結果感じる、というように。
でも、ここでお話ししている『罪悪感』は必ずしも悪いことをしていなくても感じるものなんです。
何もしていなくても感じる『罪悪感』ってどういうことでしょうか?
これ、「自分の存在自体が害であり罪であるという感覚」なんです。
太宰治じゃないですが、「生まれて、すみません。」みたいな感じですね。
……これ、つらすぎませんか?
この罪悪感が強い人は、自分の存在が害だなんて認めたくないので、ちょっとした失敗を嘘で塗り固めて体裁を整えようとしたり、あるいはしんどいのに無理やりボランティア活動を頑張ったりしちゃいます。
今回の「恋愛Jp」Q&Aに出てくる男性の小さな嘘の下に隠されているのは、もしかしたら大きな痛みなのかもしれません。
【相談者:20代女性】
彼が前に言っていたことと違うことを平気で言うんです。
それがみんなどうでもいい小さな嘘なので、なぜそんな嘘をつく必要があるのか全然理解できません。「前に聞いた話と違う」と突っ込んでも、いつも訳のわからない言い訳をします。
今のところ浮気とか借金とか、そういう大きな嘘はついていないと思うんですが、だんだん信じられなくなってきて不安です。
どうして彼はこんなつまらない嘘をつくのでしょうか。
A.彼の“責められる感覚”を理解して先手を打ちましょう
迷宮脱出ガイドの咲坂好宥です。
彼のことが好きなのに信じられないって、すごくつらいですね。
彼がどうでもいい嘘をつく理由は、千差万別です。
たとえば、脳の機能的な問題で、本人が意図しなくても記憶の再生がうまくいかない場合もありますし、そもそも“嘘をつくのは悪いこと”という認識がない人もいたりしますから。
そこで、ここでは一般的にある嘘を繰り返すパターンについてご説明しますね。
誰かから「責められる」「罰せられる」ような感覚
『罪悪感』ってよく使われる言葉ですが、一般的には何かの“行動”に対して感じるものと受け止められていますよね。
たとえば、嘘をついたとか何かを盗んだとか誰かを傷つけたとか……。
でも、心理学では『罪悪感』を自分の“存在”そのものにも感じることに注目します。
つまり、自分の存在そのものが毒や悪であると感じる、ということですね。
ここで重要なポイントは、存在自体が悪いのであって、“悪いことを実際に行ったかどうかは関係ない”ということです。
このように、自分の存在そのものに『罪悪感』を持っている人は、いつも誰かから責められているような、あるいは罰せられているような感覚を持っています。
これって、程度の差こそあれ誰でも味わう感覚なのですが、これが非常に強い人もいるんです。
もし、彼がこのように『罪悪感』が強いタイプの人で、いつも誰かから責められたり罰せられたりしているように感じているとしたら、どうでしょう。
あなたが何気なく聞いたことを、まるで尋問されているかのように勝手に解釈するかもしれません。
自分の存在が毒や悪だと信じ込んでいる人にとって、尋問はつらすぎます。
その居心地の悪さから逃れるように、その場しのぎで口からでまかせを言ってしまう人も多いのです。
あなたの彼も、そういうタイプかもしれませんね。
女性の方がよく記憶している理由
ところで、彼が繰り返すどうでもいい小さな嘘って、具体的にはどういうものでしょう?
たとえば、こんな感じでしょうか。
「このアクセサリー素敵よね。どこで買ったの?」
「ああ、先月渋谷で買ったかな」
「え? だってその前にもつけてなかった?」
「え? あ、あれが壊れちゃってね、おんなじのをまた買ったんだ、先月」
はい、全くつく必要のない嘘ですよね(苦笑)
なぜこんなでまかせを言う必要があるのかは、彼にしかわかりません。
「どこで買ったの?」という悪気ない質問を、尋問のように勝手に感じたのかもしれませんし、前カノにもらったものと気づかれたくなかったのかもしれません。
ただ、いずれにしても、あなたには彼のでまかせの矛盾を突くだけの記憶がありましたが、彼には辻褄を合わせるだけの記憶が足りなかったようです。
さっきぼくが妄想した彼とのやりとりを、掘り下げてみましょうか。
あなたが先月より前に、彼がそのアクセサリーをつけていたのを記憶していたのには理由があります。
それは、あのときこんなことがあった、こんなことを話した、そしてこんな気持ちを感じた……というように、あの日に体験した出来事をパッケージで記憶していたからです。
カナダの心理学者タルヴィングは、このような記憶を『エピソード記憶』と名づけましたが、このエピソード記憶、男性は女性より苦手と言われています。
「あのとき、ああ言ったのに……」ということに気づくのは女性の方が得意、ということのようですね。
そしてもう一つ、あなたと彼とでは決定的な違いがあります。あなたは過去の記憶を“レビュー”しているのですが、彼は過去を“創造”している、ということです。
よほど緻密に構想を練らない限り、化けの皮が剥がれるのは当然ですよね。
『罪悪感』の強い彼には接し方で一工夫を!
『罪悪感』の強い彼を、あなたが変えようとするのはかなり大変なことです。こればっかりは、彼が変わろうとしない限りどうしようもないかもしれません。
ただ、彼はいつも責められたり罰せられたりしているような感覚を持っているんだと、あなたが意識するだけで、彼に対するあなたの接し方は変えられますよね。
つまり、彼が、「責められる、罰せられる」と受け止めないような接し方を意識してみることで、彼の無用な防衛反応を減らすことができるかもしれません。
いわば、彼の防衛反応が出る前に、先回りした対応をしちゃおう、ってコトですね。
『罪悪感』というのは根強いので、なかなか大変だと思いますが、彼が「この人は自分を罰しない」と思えさえすれば、あなたへの態度も変わってくるのではないでしょうか。
彼のその場しのぎの対応がなくなって、もう一度信じることができますように。
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今日も最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。
咲坂好宥
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