あなたは『コミットメントと一貫性』という心理法則のことを聞いたことがありますか?
『一貫性の原理』なんて呼ばれることもありますよね。
これは、“人間は一度自分が決定を下したら、そのことに関して一貫し続けたい、そして一貫していると他人から見られたいという欲求が働く”というものです。
この法則、実はいろんなところで商売に使われたりしています。
たとえば、社会心理学者のロバート・チャルディーニ博士は著書『影響力の武器』(誠信書房)の中で次のような広告の事例を紹介しています。
おもちゃ業界って、クリスマス商戦が終わると2か月は売上が落ち込むそうなんですが、ある玩具メーカーがこの法則を使って売上アップに大成功したそうです。
まずクリスマス前に、たくさん売りたいおもちゃの超魅力的なCMをTVで流して、クリスマスプレゼントをそれにする約束を親子でさせるワケです。
でも、メーカーはそのおもちゃをお店にわざと少ししか卸さなかったんです。当然ながら多くの親はそのおもちゃを買えず、代わりに別のおもちゃを買いますよね。
まーそのメーカーはあらかじめ、そのための代用品をたっくさんお店に卸しておく、と(苦笑)
で、クリスマスが終わったら、またあのおもちゃのCMを流し始めるのです。すると、子どもたちはますますそのおもちゃが欲しくなって親にねだりますよね。
親としても一度は約束した手前、断り切れずにそのおもちゃを買う……という恐るべき作戦なワケです。
「咲坂さん、そんなひどい話、超レアでしょー?」
あなたはそうお感じかもしれませんが、気づいていないだけで広告やセールスって、いろーーーーんな心理操作を使うんですよ(苦笑)
今回の「恋愛Jp」Q&Aでは超マイルドな(笑)お話をしていますが、ひょっとしたらあなた、ご自分の意思だけで生きているとは限りませんよ(怖)
そんなあなたに、イカナル.comではこれからもいろんな心理操作のカラクリにも触れていきますので、ちょいちょいチェックしてくださいね (さりげないアピール)
【相談者:20代女性】
彼はひどい遅刻魔です。しかも、30分くらい当たり前のように遅刻するくせになかなか連絡をくれないのです。
仕事ならまだわかりますが、休みの日もほとんど同じなのでムカついてしょうがありません。この癖を直す方法はないでしょうか。教えてください。
A.自分で決めて行動させればそれを守ろうとする心理法則が働く
日常の迷宮脱出ガイド、心理分析士の咲坂好宥です。
遅刻魔で連絡をしない人って、意外と多いみたいですね。
遅刻してもそもそも罪悪感を覚えにくいタイプなのか、「遅刻はいけない」という価値観ではないのか……。
このあたりは人それぞれでしょうから、彼がどんなタイプかは一概には何とも言えませんよね。
そこで、多くの人に当てはまる心理法則を使って、彼の行動パターンに影響を与える方法をご紹介しましょう。
ドタキャンを激減させたレストランがやった、たった一つのこと
遅刻とはちょっと違う話になりますが、やりとりをちょっと変えるだけで飲食店のドタキャンががっつり減ったというエピソードを、社会心理学者のロバート・チャルディーニ博士が著書『影響力の武器』の中で次のように紹介しています。
シカゴのレストラン経営者ゴードン・シンクレア氏は、予約係に指示して対応を変えさせました。
それまでは、電話予約を受けたとき、「変更がありましたらご連絡ください」と対応していたそうです。
まあフツーですよね。
でも、彼はその代わりに、「変更がありましたらご連絡いただけますか?」と相手にたずね、“答えを待つ”ようにさせたのです。
微妙な違いですよね。
ところがこの変更で、店に現れない予約客の割合はすぐに30%から10%に減ったそうなのです。
お店にとっては機会損失がそれだけ減るわけですから大きいですよね。
『コミットメントと一貫性』という心理法則
このエピソードにはある心理法則が上手に使われています。
それは、“人間は一度自分が決定を下したら、そのことに関して一貫し続けたい、そして一貫していると他人から見られたいという欲求が働く”というものです。
これが『コミットメントと一貫性』と呼ばれる法則です。
禁煙したい人が自分の周りの人に禁煙宣言して乗り越えた、なんてエピソードをあなたも聞いたことがあるかもしれません。
これも『コミットメントと一貫性』が強く働いた例と言えます。
このレストランは“変更があったら電話する”という決定をお客さん自身にさせることで、電話連絡どころか予約を守ろうという一貫した意識を生んだものと考えられます。
彼の変化を習慣化させる“流れ”をつくりましょう
遅刻させたくないという場面で、とかくぼくらは相手を脅かしがちですが、それはあんまり意味がありません。
脅しによる禁止というのは心理的にそのときは効果があるのですが、長くは続かないことがわかっています。
かといって、毎回毎回おなじことを言って脅かし続けてもこっちが疲れるだけでしょうし(苦笑)、言われるほうの彼もだんだん「あーまた言ってるよ」というように聞き流しかねませんよね。
そこで、このレストランを見習ってみませんか。
つまり、「遅刻するなら連絡してくれる?」と質問したら彼の返事を待つことで、『コミットメントと一貫性』の心理法則を引き出すのです。
そのときのコツとして、脅かしたり責めたりするのはやめましょうね。大した効果はありませんから。
「いつもあなたは……」みたいに責めるのではなく、「私は」を主語にした”I”メッセージのスタイルが基本です。
そして、彼が「なるほど、それはちゃんとしなきゃ」と思える理由を伝えてみましょう。
たとえば、「あなたが時間になっても来なくて何も連絡がないと、(私は)とても不安になるよ」とか、「(私は)あなたのことが心配になるから、遅れるなら連絡してくれたらうれしい」とか……。
そんな風に気持ちを伝えたら、あとは『コミットメントと一貫性』を引き出す質問をして、答えを待つ、と。
これで彼の遅刻が減れば作戦大成功です。でも、そこまで劇的に変化しなくても、まずは彼から連絡が来るようになるだけでも大きな前進じゃないですか。
だから、もし彼が遅刻の連絡をくれたなら、今後ますますいい流れになるように工夫してみてくださいね。
つまり、そこで遅刻を罵倒したりするんじゃなくて、「連絡くれてありがとう」と言ってみることです。
「なんで遅刻されているのに、ありがとうなんて言わなきゃならないの?」とあなたはムカつくかもしれません。
いやいや、お気持ちはわかりますよ。でもこれはよりよい明日のための作戦なのです。名付けて、『肉を切らせて骨を断つ』作戦(笑)
お二人がますますいい感じでデートできますように!
the ♥ in her eyes / [benthomas]
【参考文献】
・『影響力の武器』(ロバート・チャルディーニ・著、誠信書房)
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今日も最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。
咲坂好宥
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